交通事故の後遺症損害賠償手続きの流れ

交通事故の被害に遭い後遺症が残った場合、被害者はすべての治療を終えた後、後遺障害等級認定手続というものを行うのが一般的です。この場合、被害者が最終的に損害賠償金を受け取るまでには、どのような手続の流れになるのでしょうか。

後遺症が残ってしまった場合の、交通事故の損害賠償手続きの流れについて解説します。

治療をする

交通事故の被害者となり負傷した場合に大切なのは、病院に通って、しっかり治療をすることです。交通事故の慰謝料や休業損害額の算出、後遺障害等級認定には、通院回数が重要な要素になります。どうしても、仕事が忙しかったり、なかなか良くならないので通院が面倒になるなどして、病院に通うのを怠りがちになります。

もちろん、慰謝料を稼ぐために不必要な病院通いをするのは問題がありますが、適正な損害賠償を受けるためには、必要性のある妥当な治療のための通院は積極的にする必要があります。

症状固定

治療を終えても完治せずに、これ以上治療を続けても改善されなくなった状態を「症状固定」と言います。症状固定は、医学上の用語ではなく、損害賠償のための法律的な概念です。何をもって症状固定とするかは、医学上はっきりした基準があるわけではないのですが、最終的には医師に判断してもらうしかありません。

多くの場合、医師から、「症状固定ですね」「これ以上治療しても良くなりそうにないですね」「保険会社から後遺障害診断書をもらってきたら書きますよ」「〇月末までで終わりにしましょうか」、などと言われて治療を終えることになります。

医師に後遺障害診断書を作成してもらう

すべての治療を終えても後遺症が残り、症状固定となったら、医師に「後遺障害診断書」を作成してもらいます。後遺障害診断書は、加害者の任意保険会社の担当者に言えば、送付してもらえます。また、インターネットでも、書式をダウンロードできるサイトが見つけられます。

後遺障害診断書を記入するために診察や検査を行うことがありますので、最後の治療の時に後遺障害診断書の用紙を持参して、記入をお願いすると話がスムーズに進みます。その後、病院から「後遺障害診断書が出来ました」という連絡が来たら、取りに行きます。

病院や医師にもよりますが、一般的には1週間~2週間程度かかります。後遺障害診断書料は5000円以上かかることが多いようです。この費用は、いったん、被害者が支払わなければなりません。それまでの病院への治療費等については、加害者の任意保険会社が支払いに応じていた場合でも、後遺障害診断書料については、支払ってくれないのが一般的な対応です。

被害者は、後遺障害診断書料の領収書を取って置いて、後遺障害が認定されたら実費として相手の任意保険会社に請求して支払ってもらいます。逆に言えば、後遺障害診断書料については、後遺障害の等級が認定されなければ、相手の損害保険会社は、支払わないということです。

例外的に、相手の任意保険会社が病院に直接支払ってくれたという人もいますが、その場合で後遺障害等級認定がされなかった場合は、相手の損害保険会社は、示談の提案の際に慰謝料から控除するなどします。

事前認定か被害者請求かを選択する

加害者の任意保険会社を通して後遺障害等級認定手続きをすることを事前認定と言います。事前認定の場合は、後遺障害診断書を加害者の任意保険会社に渡して、後遺障害等級認定のための手続きを任せることになります。また、被害者が、直接加害者の自賠責保険会社に後遺障害等級認定手続きを行うこともできます。

これを被害者請求と言います。この手続のために提出するのは、症状固定時に医師が書いた後遺障害診断書だけではありません。事故状況図、被害者の治療期間中の毎月の診断書や診療報酬明細書、病院で撮影したレントゲンやMRIなどの画像データも提出します。

弁護士に依頼して被害者請求する場合は、弁護士が後遺障害等級認定のための必要書類や画像を集めて、加害者の自賠責保険会社に送付します。加害者の自賠責保険会社は、この書類を受付けた後、不備がないことを確認してから、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所という組織に送付します。

自賠責損害調査事務所の審査

自賠責損害調査事務所が、後遺障害診断書の記載内容などを確認して、後遺障害等級認定の審査を行います。この際、調査事務所が、送付された書類だけでは判断できない場合は、独自に病院に医療照会をすることがあります。

この場合は、調査事務所から同意書の提出を求められます。私(患者)の情報を、調査事務所の方に話しても構いません、という内容の病院宛ての同意書です。調査事務所はこの同意書を使って、医師に医療照会を行います。

後遺障害等級認定の審査の結果が出るのは、早くても40日程度はかかるのが通常です。調査事務所が医療照会を行う場合などは、医師からの回答待ちとなるため、数か月かかることがあります。調査事務所での審査が終わると、その審査結果は、加害者の自賠責保険会社に送付されます。

自賠責保険金の支払い

加害者の自賠責保険会社が、自動車損害調査事務所から、後遺障害等級認定の審査結果の報告を受けます。加害者の自賠責保険会社は、この審査結果や、該当・非該当についての理由を記載した書類を、被害者に送付します。

同時に、後遺障害の等級に該当した場合は、自賠責保険の支払い基準に従った後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を支払います。被害者請求であれば、請求者(被害者本人や被害者の代理人弁護士)の口座に直接入金されます。

後遺障害等級認定の結果が「非該当」や「等級が想定していたよりも低い」場合など、審査結果に不服がある場合は、損害保険料率算出機構に異議申立てをすることができます。また、自賠責保険・共済紛争処理機構という組織に調停を求めることもできます。

加害者側と示談交渉

後遺障害等級認定の結果が出たら、加害者や加害者の任意保険会社と示談交渉を行います。後遺障害の等級に該当した場合は、通常の請求費目(治療費・慰謝料・休業損害等)のほかに「後遺障害慰謝料」と「後遺障害逸失利益」を請求できますので、損害賠償額が大幅に増額されます。

示談の成立

被害者と加害者の任意保険会社の間で示談交渉がまとまると、加害者の任意保険会社が免責証書(示談書・和解書のような書面)を作成して送付してきますので、それに記名押印して返送します。免責証書の返送後、指定した銀行口座に示談金が送金されます。

免責証書を取り交わしてから入金までの期間は、保険会社や担当者によって違いますし、一概には言えませんが、1~2週間程度が多く、数か月かかるようなことはほとんどありません。

関連資料→後遺障害(後遺症)とは | 交通事故の慰謝料・弁護士相談ならアディーレ法律事務所